「歯並びが悪いのは親からの遺伝?」「顎が小さいから?」「口呼吸や舌の癖が原因?」と、自分の歯並びの原因が気になっていませんか。
歯並びが悪くなる原因は一つとは限りません。また、見た目が似ている歯並びでも、歯そのものの位置が原因の方、歯を並べるスペースが不足している方、上下の顎の骨格が関係している方、成人後に歯周病などで歯が移動している方では治療の考え方が異なります。
原因を整理するには、いつから歯並びが気になっているかという問診に加えて、歯の大きさとスペース、上下の噛み合わせ、顎の骨格、歯根、歯周組織、口呼吸や舌などの機能を確認します。
特に「昔から同じ歯並び」と「最近になって急に歯が動いてきた状態」は分けて考えることが重要です。後者では、矯正装置を選ぶ前に歯周病や歯の欠損、過去の矯正後の後戻りなどを確認する場合があります。
遺伝・指しゃぶり・口呼吸など「歯並びが悪くなる原因そのもの」は既存記事で詳しく解説しています。本記事では、それらの原因候補を自分の場合にどう絞り込むのか、歯科医院で確認する診査を中心に説明します。
同じ「歯並びが悪い」でも原因は同じではない
ガタガタ、出っ歯、すきっ歯、受け口、開咬などは「見え方」の分類であり、見た目だけから原因を一つに決めることはできません。
| 気になる歯並び | 確認する主な要因 | 見た目だけでは分からないこと |
|---|---|---|
| ガタガタ・八重歯 | 歯の大きさ、歯列のスペース、歯の生える位置 | 歯根の位置、骨の範囲、必要な移動量 |
| 出っ歯 | 前歯の傾き、上顎・下顎の位置 | 歯だけの問題か、骨格が関係するか |
| すきっ歯 | 歯の大きさ、本数、歯の位置、歯周組織 | 生まれつきか、成人後に歯が動いたのか |
| 開咬 | 歯の位置、顎の成長、舌、口呼吸、習癖 | 歯性か骨格性か、機能的要因が残っているか |
| 受け口 | 前歯の傾き、上顎・下顎の骨格 | 矯正だけで対応できる範囲か |
歯並びが悪い原因を調べる6つの診査
矯正前の診査では、一つの検査だけで原因を決めるのではなく、複数の情報を組み合わせます。一般的な矯正診断で確認される主な項目を6つに整理します。
子どもの頃から同じ歯並びなのか、成人後に変わってきたのかを確認します。過去の矯正、抜歯、虫歯治療、歯の喪失なども重要な情報です。
歯の重なり、ねじれ、すき間、前歯・奥歯の噛み合わせなどを確認します。現在の虫歯や歯ぐきの状態も治療順序に関係します。
歯の大きさと歯列に残っているスペースを比較し、歯を並べる場所がどの程度不足しているかなどを評価します。
歯根、まだ生えていない歯、歯を支える骨などを確認します。必要に応じて顎骨・顔面骨格の前後的、上下的な関係も評価します。
特に成人では、歯を支える骨や歯周病の有無を確認します。急に前歯が開いた、歯が動いた場合は重要な診査項目です。
開咬などでは、舌の位置・飲み込み方・口呼吸・長期間続いた指しゃぶりなどの情報も治療計画や治療後の安定性を考える材料になります。
ウメダデンタルクリニックの現在の公式料金表では、ワイヤー矯正について「レントゲン・咬み合わせ模型を採取し検査」44,000円(税込)と掲載されています。
「顎が小さいから歯並びが悪い」は検査しないと分からない
顔が小さい、顎先が小さく見えるという見た目だけで「顎が小さいのが原因」と判断することはできません。
ガタガタした歯並びでは、歯列に対して歯が大きい、歯列弓が狭い、永久歯の萌出位置がずれているなど、複数の状態がスペース不足に関係することがあります。
反対に、横顔で下顎が小さく見える方では、実際に上下顎の前後関係が関係している場合もあります。
つまり「顎が小さい」という一言だけでは、抜歯・非抜歯、部分矯正・全体矯正、装置の種類まで決めることはできません。
「親も歯並びが悪い」なら原因は遺伝?
顎・歯列の大きさや歯の大きさなどには遺伝的な影響が認められていますが、現在の歯並び全体が遺伝だけで決まるわけではありません。
双生児研究等をまとめたシステマティックレビューでは、歯列弓の幅や長さは比較的高い遺伝性を示した一方、前歯の突出量や歯の回転・位置ずれなどは遺伝性が低い項目もありました。
そのため「親が八重歯だから自分も八重歯になった」と見た目だけで原因を一つに結び付けるのではなく、現在の歯列・スペース・骨格を確認します。
口呼吸や舌の癖を直せば歯並びも自然に治る?
口呼吸や長期間の指しゃぶりなどは特定の不正咬合と関連することがありますが、習慣を改善すれば、すでにずれた永久歯が必ず自然に適切な位置へ戻るわけではありません。
特に成長期では、長期間続く非栄養性吸啜習慣と開咬・交叉咬合などとの関連が報告されています。一方、口呼吸と歯並びについては観察研究が多く、「口呼吸だけが原因」と因果関係を単純化できません。
鼻づまりなどで鼻呼吸が難しい場合には、その原因自体を確認することも重要です。必要に応じて、歯科だけではなく関連する診療科での評価を検討します。
大人になって急に歯並びが悪くなった場合は原因を分けて考える
成人後の急な歯並びの変化は、昔からある不正咬合と同じように考えないことが重要です。
成人後も歯列は少しずつ変化しますが、短期間で前歯にすき間ができた、歯が傾いた、歯が揺れる、出血する場合には歯周組織の状態も確認します。
歯周炎が進行すると、歯を支える組織の減少などによって病的な歯の移動が生じる場合があります。また、歯を失ったままにしている場合や、過去の矯正後の後戻りなども確認対象です。
歯が揺れる、歯ぐきから出血する、今までなかったすき間が急に広がったなどの変化がある場合は、矯正装置を選ぶ前に歯周組織を確認することが重要です。
原因が分かれば治療方法も1つに決まる?
原因を整理しても、治療方法が自動的に1つへ決まるわけではありません。現在の歯の位置・噛み合わせと、患者さまが何を改善したいかを合わせて治療計画を作ります。
| 確認された状態 | 治療前に考えること |
|---|---|
| 歯列内のスペース不足 | どこからスペースを確保し、歯をどこへ移動するか |
| 上下顎の骨格差 | 歯だけの移動で対応できる範囲か、骨格評価が必要か |
| 口腔習慣・機能 | 現在も続く要因があるか、矯正と並行して確認する必要があるか |
| 歯周病・炎症 | 矯正より先に歯周組織を安定させる必要があるか |
| 欠損歯・過去の治療歯 | 矯正後の補綴治療まで含めて位置を設計するか |
| 矯正後の後戻り | 現在の歯列だけでなく以前の治療資料・保定状況を確認する |
梅田で原因を相談するときは「装置」より先に診断内容を聞く
最初から「マウスピースでお願いします」「部分矯正がいいです」と装置・範囲だけを決めるより、なぜ現在の歯並びになっているのかを説明してもらうことが重要です。
- 私の歯並びで最も大きい問題は歯の位置・スペース・骨格のどれですか?
- 見た目だけでは分からない問題はありますか?
- 歯根・歯槽骨・歯ぐきに注意すべき点はありますか?
- 昔からの歯並びですか、それとも成人後の変化も関係していますか?
- 口呼吸・舌など、現在も続く要因を確認する必要はありますか?
- 矯正治療をする場合、なぜその治療範囲・装置を選ぶのですか?
- 治療しない場合に経過観察すべき項目はありますか?
ウメダデンタルクリニックの公式料金表では、矯正前のレントゲン・咬み合わせ模型による検査を44,000円(税込)と掲載しています。
歯列矯正の期間・回数・費用・リスク
歯列矯正は自由診療です。原因を調べた結果、矯正治療を選択する場合は、治療内容・期間・費用・リスクまで確認してください。
治療内容:
矯正装置を使用して歯へ継続的な力を加え、天然歯を少しずつ移動させ、歯並び・噛み合わせを整える治療です。治療計画によっては、抜歯や歯と歯の間の調整などを検討する場合があります。
通常必要な治療期間:
ウメダデンタルクリニック公式ページでは、一般的な歯列矯正について2~3年前後と案内されています。治療期間は不正咬合の種類、歯の移動量、抜歯の有無、治療範囲等によって異なります。
通常必要な治療回数:
公式ページでは3~4週間に1回程度のペースで調整すると案内されています。2~3年間この頻度で調整する場合、調整来院は概ね26~52回程度に相当します。ただし、検査・装置装着・緊急受診・保定管理等を含む総通院回数ではありません。
標準的な費用:
初診カウンセリングは無料。レントゲン・検査44,000円(税込)、上下メタル装置770,000円、上下透明装置880,000円、上下リンガル装置1,430,000円、ハーフリンガル1,100,000円(税込)です。表側矯正のチェック料は6,600円/回、舌側矯正は8,800円/回、ワイヤー矯正終了時のリテーナーは片顎25,000円(税込)が別途必要です。
主なリスク・副作用:
装置装着・調整後の痛みや違和感、口内炎、清掃性低下による虫歯・歯肉炎、歯根吸収、歯肉退縮、予定より治療期間が延長する可能性、装置の破損、治療後の後戻り等があります。抜歯等を行う場合には、それぞれ固有のリスクもあります。
歯並びが悪い原因についてよくある質問
原因を正確に特定することはできません。歯列の見た目だけでなく、歯根、顎の骨格、スペース、噛み合わせ、歯周組織などを確認する必要があります。
顎や歯列弓、歯の大きさには遺伝的影響がありますが、現在の歯並びがすべて遺伝だけで決まったとは言えません。環境・成長・歯の状態なども含めて考えます。
すでに永久歯の位置が大きくずれている場合、口呼吸への対応だけで歯が適切な位置へ戻るとは限りません。呼吸の原因確認と、現在の歯並びへの治療は分けて考えます。
まず原因確認が必要です。歯周病、歯の欠損、矯正後の後戻りなどが関係している場合は、先に対応すべき問題がないか診察します。
必ずではありません。見た目、噛み合わせ、清掃性、歯周組織、本人の希望などを確認し、治療するメリットとリスクを比較して判断します。
まとめ|原因を「当てる」のではなく診査で切り分ける
- 歯並びが悪い原因は一つとは限らない
- 同じ見た目でも歯・スペース・骨格など原因候補が異なる
- 問診で「いつから変化したか」を確認する
- 歯型・模型等で歯の大きさとスペースを確認する
- レントゲンで歯根・骨格・支持組織等を確認する
- 成人の急な変化では歯周病・欠損・後戻りも確認する
- 口呼吸や習癖だけを原因と決めつけない
- 原因が分かっても治療方法は一律ではない
- 装置を決める前に診断内容と治療目的を確認する
梅田で歯並びが悪い原因を相談するときは、「遺伝ですか?」「顎が小さいですか?」と一つの原因だけを探すより、現在の歯・骨格・噛み合わせ・歯周組織・口腔機能を分けて評価してもらうことが重要です。
原因候補と現在の問題を整理したうえで、治療する必要があるのか、どこまで歯を動かすのか、どの方法を比較すべきなのかを判断してください。
医療法人審美会 ウメダデンタルクリニック院長。1985年松本歯科大学卒業。1991年米国UCLA歯学部アドバンス・プロソドンティクス課程修了。公式プロフィールでは、アメリカ歯科審美学会(AACD)プロフェッショナルメンバーとして掲載されています。
